妻の闘争

in 思考の果実

ここ神山町ではやたらと家の中でムカデを見かける。近年の建売住宅などでよく見られるような超気密住宅ではムカデはあまり出ないのかもしれないが、我が家は築50年ほどの平屋の一軒家。マンションの一室などではなく、地続きでもあるからか、川のそばで湿気も高いからか、けっこうムカデを見かける。

昨年は5月に引っ越した翌週には台所で大きなムカデに遭遇した。すぐにムカデを駆除する餌式の薬を買ってきて家の周囲に置いたら、痙攣して倒れるムカデを目撃したこともあった。でも、ムカデを完全に駆除することは難しい。去年の夏には睡眠中の妻のパジャマの中に大きいのが入ってきたことがあって、それ以来妻にはムカデがトラウマになっている。しかしまだ家族の一人として噛まれてはいない。

今年も5月になってから、ちらほらとムカデを家の中で見かけるようになった。1,2センチくらいの子どもを最初はよく見かけていて、今やら浴室やらで見つけては駆除していた。
今年の大物は子どもの玩具部屋にしているところで一匹、台所で一匹見つけていた。家用の火箸を持ってきては摘んで、ティファールの電気ポットで湯を沸かしてかけて殺した。そして、そうこうしているうちに、先々週は洗濯機の中で洗い終わって死んでいる親のムカデを見つけて(脱いだ服の中に入っていて、それをそのまま洗濯機に入れた)、寝室で深夜にふと妻が目覚めて電気をつけたらちょうど新生児のそばを親ムカデがちょろちょろちょろっと走っているのに遭遇。妻の「ムカデ警報」は一気に鳴り響いたのだった。

それからというもの、妻はずっとずっとスマホでムカデ駆除について取り憑かれたように調べるようになった。駆除するにはまず生態から熟知していないといけない、と考えたらしく、どんなところを巣としているのか、何を食べているのか、どうやって子どもを増やしているのか、などというところまで、一日中新生児に母乳を与えて寝かしつけてる間、ずっと調べていた。

ある日、妻は脱衣所で脱いだ家族の服を風呂場の床に固めて置きっぱなしにしていた。普段はそんなことはしない。すぐに洗濯すればいいのにあえてそうしていた。
そして次の日、「やっぱり!!」などと嬉々とした叫び声をあげたと思ったら僕を風呂場に呼びつけてこう言った。

「ほら!この服の下におっきいムカデが隠れてる!やっぱり!こんな湿気があって、落ち葉が敷きつけられたみたいに隠れるところがぎっしりあるところにムカデって住んでるんやって!やっぱり!」

と、嬉々として言うのだった。

そして「はい、じゃあ殺しといて」と言い放つ妻。決して自らの手は汚さないのだった。

その後、さらに2匹の生きのいい成虫と室内で遭遇。生け捕りにしてなたね油(NON~GMO)に漬け込んだ。ムカデに噛まれた時の塗り薬になる。

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