モリグチャウダーのベーグルの推移

in 思考の果実

以前、僕達のパンは最初「スペルト小麦のパンとライ麦パンでいく」と書いた。僕自身の健康のための試験であり、何か他所とは違う特色を出すべきじゃないか、と夫婦ふたりで相談してのことだった。まず第一段階のチャレンジだった。

そして、三男が出産する前、徳島市にある健康食品店「ぱんぷきん」から「スペルト小麦のパンやベーグルを卸す」という話がまとまり、少ないながらもベーグルを中心に売らせてもらえるようになった。

今となっては「幻」のスペルトベーグル。徳島大学フューチャーセンターのイベントに出店もしたが……。

最初はスペルト小麦のベーグルだった。でも、このベーグルはすぐに「材料費が高すぎる」という壁にぶつかった。このベーグルを売ろうと思うと、一般的に思われるベーグルやパンの「値ごろ感」をやすやすと飛び越えてしまい、とても高くなってしまう。値ごろ感に合ったベーグルにしようと思うと生地を減らし、小さくしないといけない。これだと一般的な売り場で売るには「どれだけモノが良かろうが高くて買えない・買ってくれない」という状況にすぐに陥ってしまった。

じゃあ本当にほしいと思う人にだけ届くよう、ウェブで売ればいいとは考えたが、そう考えたときがもう臨月もいいところで、とてもじゃないけれど手が回らなかった。
そして希少なオーガニックのスペルト小麦は現在その希少さゆえに追加で買えなくなってしまっている。(うちの在庫はもうすぐ切れる)

普通の人が納得の行く「値ごろ感」で、できるだけ健康的で美味しいパンを作ろうと思うと、粉は国産の強力粉にしないといけないのは明白だった。北米産のオーガニック強力粉でもなかなか採算が合わない。国産の強力粉に変えたベーグルのレシピを試行錯誤して作り出た。
それから徳島市にある無農薬農家さんが立ち上げたマーケット「喜多野安心市」にて売らせてもらえるようになった。

 

油も砂糖も入れないかなりハードなベーグル。なので「食べ応えのあるベーグル」という名前を付けて販売。

最初はかなり売れた。嬉しかった。チョコレート、有機カレンツレーズン&シナモン、自然栽培はっさくピール&チョコ、あずきなど、4〜5種類のベーグルをつくって売り続けた。好評だった。
しかし3月末に三男が生まれ、4月いっぱいと5月中旬まで一切のパン作りをストップさせ、それから再度売り場に置き始めたら、今度は不思議なくらいなかなか売れなくなってしまった。

1ヶ月空いてしまったら、人は買わなくなってしまうのか。あらためて買ってどこか欠点でも見つかったのか。味が落ちたと感じられてしまったのか。原因がよくわからないまま、売上が下降線をたどる日々が続いた。

店長ともいろいろと話し合ってみたら、どうやら「固い」という声がいくつかあったことがわかった。

基本的に自家製天然酵母のパンは、イーストでできたパンと比べると固い。うちはさらに砂糖も油も入れず、粉と酵母と水と塩でつくるパンだったので、他のパン屋のパンと比べると明らかに固い。しかもベーグルは焼く寸前に茹でることにより、表面がパリッとした食感になる。要するに固くなる。

ならば、「固くないベーグル」など、そもそも方針と合っていないのではないか。

コンビニで売ってるような柔らかい菓子パンの中での「ベーグル」などは確かに柔らかい。でも、目指すところはそこじゃない。
さらに、普通自家製天然酵母パンというのは「店頭でのその日の売り切り」で売ることのほうが圧倒的に多いと思う。袋に入れて店頭に置かせていただき、賞味期限が4日とか5日とかと表示して、期限内に買ってくれる人を待つ、という売り方は多分適していない。なぜなら天然酵母のパンは時が経つにつれて味と香りが変わっていくし、固くなっていくから。

それでは「ふわふわのパンの方がいい」というニーズのほうが多いのならば、うちらは別の売り方をしなければならないのではないか。そこまで考えた。

でも。でもだ。僕のモットーは「無常」。ニーズが日々変化していくのならば、それに日々応えていくという姿勢もまた「解答」のひとつのはず。そう考えてまたいろんな文献などをたよりに夫婦で「(そんなに)固くないベーグル」のつくりかたを検証しまくった。

自家製天然酵母での食パンのレシピを参考に、菜種油と砂糖を加えて発酵時間を変えていく。どの分量・時間が最適なのかを試行錯誤。

結果、「(そんなに)固くないベーグル」が完成した。今までのよりさらに手間と材料を加えて。現在、喜多野安心市ではこれを少しだけ販売しています(少しだけ、の理由は次回)。ぜひお買い求めください。かじってみて「ああ、そんなに固くないぞ」と言ってみてください。そんなに固くなく、とても美味しいので。

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