まこちゃん

in 思考の果実

次男の名前を決めるのにすごい時間がかかってしまった。
名前の意味が、発音が「ピタッ」とくる名前がなかなか出てこなかったからだった。
意味が良くても発音が良くない。聞き取りにくかったり、「それは人名として発音するのは無理がある」という名前だったり。
また、呼ぶ言葉が可愛らしくていいな、と思っていても、今更その名前はいささか古いのではないか?とか、今は可愛くてもおっさんになっても可愛い呼ばわりされかねないのはいかがか?とか。
そういうことがずっと繰り返されていた。

時折、候補が一周回って「やっぱり純次がいいんじゃない?」と妻に話を持ちかけたが、真顔で否定され、相手にされなかった。そういうことを10ターンくらい繰り返してから、最終的に命名締め切り当日に「真言」も含めて4つの候補が残っていた。

どうしようかな…どれがいいかな…と思った末、長男の和貴に「どれがいい?」と話してみたのだった。

すると、ひとつだけ、

「まこちゃん? おとうとはまこちゃん? まこちゃん、いい!」

と、「真言がいい?」と問うた時だけ、そう聞き返してくるではないか。

僕の友達で「まこちゃん」などと呼ばれている人間はひとりもいない。妻にもいない。テレビを観ないからそんなあだ名の登場人物を知らないし、家にある絵本にもまこちゃんはいない。知らない呼び方のはずなのに、いきなりフランクに呼びはじめたではないか。

ああ、もしかしたらちょっと漢字を読みにくいかもしれないけれど、こんなに異常に4歳児がが反応するならこれでいいな、と思って、決めたのだった。

* * *

後日、長男を一時保育に朝から預けた。夕方迎えに行ったら、

「おめでとうございます!『まこちゃん』お生まれになって!和貴君がお弁当の時にいきなり話してくれんですよ。可愛いんですってー!」

と先生から言われた。

 

僕はなんだかいつもより2倍嬉しかった。

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