建築士が死んだ。

in 発酵中

10年ほど前に働いていた建築事務所の所長がお亡くなりになった。
49歳だった。ガンだった。

今夜がお通夜で、明日が葬式とのことだった。
でも、僕は今夜も仕事で、明日の会議に向けてスパートをかけつつ、それ以外の仕事を先に終わらせるべく同時に進めなければならなかったから。
悩んだけれど、行けなかった。

そもそも、10年も昔に半年程度の勤務で「使い物にならない」と判断され、放逐されるように辞めたので、僕がお通夜に行くのは筋違いかな…、という気持ちも当然ながらあった。

半年程度、とてもしごかれ、とても怒られ、とても馬鹿にされた。
なので思い出したい思い出というものはまるで無かった。
建築設計の仕事というものが、僕の人生で始めての挫折だった。

しかし、この方から教わったことは、多い。

ものをつくる仕事をしている以上、
いつかは独立して自分自身の腕でやっていかねばならないし、
そう考えていない作り手は作り手と見なさない、というスタンス。

資格を得たり、事務所を構えても、それからもずっとずっと
自分を叱咤して勉強をし続けないといけない、ということ。
(実際に彼は毎週土曜の夜は「自主勉強徹夜」をしていた。建築士になってからずっと)

「本当に好きなこと」だけを仕事にしないといけないこと。
少しでも好きじゃないのなら、選ぶことは不幸だということ。

人の居ないところでその人の悪口を言うことは、見ていて気分が悪いこと。

たくさんのことを教わった。

しばらく、折に触れて彼のことを思い出しては、
こうしてブログに書きとめたり、考えたりするんだと思った。