5月15日

in 思考の果実

前回の更新が3月。なんと半年近くも書いていないブログ。まずは茨木から神山に引っ越してきてからの、日々のことを改めて書こうと思う。

僕たちは5月15-16日に神山町に引っ越すことができた。長男・和貴を幼稚園の友人家族に預けさせてもらっている間、茨木の家の荷物を運び出し、徹底的に掃除をした。もう感傷的になど一切ならず、「時間間に合うかな?」という心配ばかり抱えての引越し作業だった。掃除は全然追いつかず、翌週あらためて掃除作業をすることになった。送り出した荷物が翌日神山の新居に到着してしまうので、今夜中には神山におらねばならないからだ。(その日中に神山に行かなくてもよかったところがまだ幸いだった)
「僕ら両親が居なくても和貴は大丈夫だろうか?」と引っ越し作業中はかなり不安に思っていたが、合流してみたら友達と公園の遊具でとても楽しく遊んでいた。体調を崩してから公園で小走りをするまで回復した和貴を見たのは初めてだった。(体調不良後、走ったり高い所に登ったりできなくなっていた)
友人家族に感謝しながら、荷物いっぱいのクルマに和貴を乗せて、途中うどん屋さんで夕食をとり、神山に向かった。

3時間半の夜のドライブ。子供達は眠っていたが、神山の隣町に入ったあたりで長男が目覚め、荒れた。ずっとずっと助手席で荒れ続けるのをなんとかなだめたり叱ったりしながら山道を走った。錯乱状態が限界に来た時、真っ暗な山道でクルマを停めて、運転席を降り、助手席のドアを開けて和貴を抱き上げた。

そこはオレンジ色の街灯が一本だけ立っている山道で、空き店舗か倉庫のような建物の前のちょっとした駐車スペースのようなところだった。道路の向かいが大きな竹林で、その夜は風が強く、ごうごうパキパキと音を立てながら竹藪が揺れていた。黒い山の塊のようなものが大きく呼吸をするかのように揺れていた。僕らは抱き合いながらそのとてつもなく大きな黒い塊の息づかいを見続けた。

「もうすぐ新しい家に着くよ。あと15分くらい。ここは遠くまで真っ暗やね。虫の音もすごいね。大阪とはぜんぜん違うね」

と声をかけると、シートベルトで押さえつけられて苦しかった状況と思いっきり変わったことが体感覚でわかったのか、「うん」と素直に大人しくなった。

それからほどなくして家に着いた。布団は2組すでに持ち込んでいたので、夜遅く着いても今日は寝るだけだ。でも、子供達はリフォーム後はじめて見る家の全貌に驚き、また喜んで家中走り回った。全室の床が腐っていたので、すべて新しく張り替えた家。新しい僕らの一軒家。もう茨木のマンションとは違って、どれだけ走っても飛んでも誰の迷惑にもならない。子供達は家中をひたすら走り回り続けた。

疲れるまで遊ばせてから子供達を布団に入れ、消灯した。住み慣れた生活から離れる不安。40年近く離れたことがなかった「関西」からの移動。毎月のように会っては遊んでいた人たちとのしばしの離別。そして、もう隣の部屋からの匂いや煙や音などに恐れなくてもよいという安心感や、「一軒家」という自由。新しく生まれるであろうこの町での人間関係などを想像して寝床に入った。

「夕暮れ」と「日の出」が一緒になったような気持ちで胸がいっぱいだった。

思考の酵母: ,