思考の酵母 ‘クリエイティブ’

明確に示せない限り

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そして、よく言われるのはオバケにいてもできたことじゃない?という質問。そうなんだけど、未来はそうじゃないと思って、思い切って別の会社にしました。これからもしかしたら今年くらいから?クリエイションにまつわる状況は変わりそうな気配があります。個人でもチームでも、何が得意で何が苦手か、私の武器はこれで、自分たちの戦場はここです、そういうものが明確に示せない限り、良いものは作れないし、まず仕事が生まれないと思っています。

なので僕の武器と戦場をそのまま会社にすることで、自身のやるべきことに正しいフォーカスをあてることができるし、自分がやるべきことじゃないことはお願いします!とパートナーに依頼できる。もしこれをオバケでやってしまうと、僕の仕事のアウトプットがバラバラなゆえに本来のオバケの力をぼやけさせる危惧と、そもそもこの挑戦がオバケとしての挑戦ではなく、完全に松倉個人の挑戦だったことが大きいです。

退職エントリーならぬ、成仏エントリー – Subaru Matsukura – Medium

連続対談「つくるということ」によせて

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ここ3年余りで、レクチャーや対談、ワークショップなど公の場での講演活動を沢山やりました。大小含めば100を超える回数です。制作を主な仕事とする僕にとっては、異常な数です。僕の半端なキャリアや一時の認知度と、デザインやアートディレクションという領域の仕事が注目された時流と重なって、そんな状況にあったのだと思います。デザイナーが人前に出て壇上で話をすることは、なにか筋違いとも思いつつ、直接的に不特定多数の観客と関わることは新鮮な体験でした。やり直しがきかない「ライブ」という伝達手段への興味も手伝って、時間の許す限り、そのような依頼を引き受けてきました。(もちろん、販促や仕事の宣伝効果という目論見も少なからずありましたが)

僕がつくるということを仕事にして、15年ほど経ちます。七転八倒しながらなんとか社会の隅っこで、食べていけるようにはなりました。しかし、自分のこれまでの仕事を顧みれば、何か大きなものが欠けているように感じてなりません。それぞれに懸命につくったものであることは確かで、少なくない愛情もあります。それでも、今の制作態度、技術では、近く限界が来るように感じています。

デザイナーという仕事の多くは商業と密接に関係する仕事なので、社会と協調しながら、デザインの生産体制をつくり、利益効率を優先する仕組みをつくることも可能です。しかし、それだけでは回収しきれない仕事でもあります。どんな目的があれ、どんな機能が付け加えられても、それまでに存在していなかった「なにか」を立ち上げなければ、ある種の引力を引き起こすことはできません。

これはデザインの分野に関することだけではなく、あらゆる「つくること」に通じることだと考えています。ただ、一つの専門的な技術や方法に深く潜り込んでいかないと見えない、専門の先にある普遍的なものがあるように感じています。僕はいま、それに触れてみたい。できることなら、自分の手をとおして目に見えるものとして立ち上げたい、という欲に駆られています。

僕はもうすぐ36歳になります。平等に言って、中年です。まだ若いとは言えなくはないですが、ものをつくる上で、今しか鍛えられないものがあるように感じています。肉体に例えれば、持続性のある筋肉のようなものを。それを鍛えるには、もうあまり時間がない、そんな切迫感の中にいます。そして、それはおそらく一人でしかできない種類のトレーニングです。

そんな中で、公開で講演や取材をしばらくお休みしようと思っています。「有名人気分でメディアに出たり、先生気取りでおしゃべりしながら、筋トレに集中できない」からです。しかしながら、これまでにしゃべり散らした責任と、もはや仕事の一部と化していた講演活動の括りに、自分の本当に聞きたい、話したいことで終わりにしたいと思いこの連続対談を企画しました。本を売るための話でもなく、営業用のおしゃべりでもありません。なにかの解説でも紹介でもありません。しっかりとした「筋力」をもった方々と改めて話したい。そういった個人的で切実な欲求からはじまるものです。

ご登壇いただく方たちは、単に「好きなものを創った尊敬する人」では、言葉が足りません。作品への敬意は前提ですが、それだけではなく、同時に不快感や敵愾心、疑問や懐疑を感じ、僕を揺さぶり続けている方々です。そして、ぶれない一貫した姿勢をお持ちの方たちです。対談のテーマは「つくるということ」。加えて言うならば「孤独と戦うことは世界と戦うことでもある」ということです。
正直なところ、どんな内容になるかはじめて見なければ、僕自身にも分かりません。が、討ち死に覚悟で本気で話します。予定調和にはなりません。

多くの方にこの場を共有していただければ、嬉しく思います。

連続対談「つくるということ」によせて ー菊地敦己

「どうやったらコピーライターとして上達できますか?」

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澤本:秋山さんが人に教えたり、誰かを下につけて教育したということもあるんですか?

秋山:あまりないですね。コピーライターというのは自分で考えて、自分で結論を出すという仕事です。人はそれぞれ何に興味があるか、どういう感性があるかは違いますから、逆に大きなお世話だと思うんじゃないか。ですから人の書いたものは、許せる範囲なら全くいじらないほうがいいと思いますよ。

澤本:そういうお話を、若い方々は聞きたがっていると思います。若い人に「どうやったらコピーライターとして上達できますか?」と質問されることがあります。そのときに僕はよく、「優秀なコピーライターの仕事をよく見ることだよ」と言っています。100個コピーを書いたら、優秀なコピーライターに見てもらって、どれがいい・悪いと指摘をしてもらって、自分の中にその基準を蓄積していくのが一番いいと。秋山さんが「どうしたらいいコピーライターになれますか?」と質問されたら、何と言いますか?

秋山:コピーから離れて考える時間を持ったほうがいいということです。

澤本:コピーだけじゃなくてということですよね。

秋山:たとえば、飛行機に乗っているよりも列車に乗って窓の外をずっと見ているほうがコピーは書けるかもしれない。それから、苦手と思うような厚い本をとにかく1冊読んでみるとか。厚い本って、その厚さだけで敬遠するじゃないですか。その後にさらにもう1回読むと、自分の満足感というものがあると思う。そういうものがいいコピーの力になるんじゃないですか。

澤本:コピーを書こうと思って、コピーだけをずっと書くということではなくて。

秋山:それだと書けないですね。コピーは純粋な、単純なものじゃないんですよ。自然界のフォルムって、直線は全くないでしょう。自然界って非常に複雑なんですよ。それから単一の色はないですよね。赤い花と言っても、赤いというのはどういう色かと。コピーはそういうものじゃないかなと思っています。

澤本:それこそ信号じゃないということですね。

秋山:コピーそのものよりも、もっと色々な、その人の性格や、初めて海を見たときにどう感じたか、といったことがあるんじゃないですか。

秋山さん、コピーはどうすれば上達しますか?(ゲスト:秋山晶さん)【前編】 | AdverTimes(アドタイ)

いい会社の条件

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僕は、D&DEPERTMENTをつくって5年、10年は、会社もお店も自分のものだと思っていた。いまでもたまに、そう”錯覚”することがある。

会社を自分だけのものだと思っていると、社員はまったく成長しない。何をやっても、みんなあの人の手柄になると思ったら、働いていても面白くないから。

いい会社というのは、みんながそこを自分のものだと思っている会社。みんなで社会的な価値を創造している会社だ。

社長が会社を自分のものじゃないと思えると、上も下も働くことが楽しくなる。

ナガオカケンメイ「二流でいこう」P157(集英社クリエイティブ)

受け手の自由

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いやいやそこは全然気遣うとこじゃないから。その人のこの時代は好きだけどこの時代はイマイチとか、それは受け手の自由であっておれには関係ないこと。君を怒ってるわけじゃないからね。勘違いするなよ。RT 言い方ひとつ考えればよかったっす。勿論今のも好きなんです

江口寿史

これからの本づくり

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本をつくるということは、これからだんだんセグメント化、カスタムメイド化していくのではないかと個人的には思っています。「この人に読んでほしい」というような思いがあって、それに共感した他の方も買ってくださるというように。はじめから「5000人くらい買うだろう」という不特定多数をみつめた本づくりはこれから厳しくなっていくのではないかと。

オーダーメイドの服のように、一人一人に向けた本というのがあってもいいのではないか。それをつくるインフラ(印刷などの製造部分や流通などの販売部分)も整ってきたし、メディアがもっと自由になる過渡期なのかなとも思っています。

書店流通される本の平均返品率は40%。書店から戻ってきた本は、カバーを巻き直して再出荷されますが、汚れが酷かったりすると再利用ができません。年度末の在庫調整で破棄されることもあるので、無駄にしている部分が多いのです。オーダーメイドの本であれば、その分の無駄を減らせるのではないか。そして、造本も凝ることで、印刷・加工会社に仕事をまわせるのではないか。オーダーメイドと大量生産をうまく組み合わせて出版事業をおこなうことができないか…などなど、出版と編集の新しい手法に思いをめぐらせています。

 

最近の本について思うこと : これ、誰がデザインしたの? より

創作の世界

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創作の世界というのは、本質的に競争とは無縁のものでもありますしね。サステナブルに自分が好きなことを続けられて、嫌なことをやらないで済むのなら、それでいいのかな、と。

「ワークライフバランス」を気にする人は超一流になれない : まだ東京で消耗してるの?