思考の酵母 ‘WIRED’

未来にやみくもに期待し続けることから抜け出せなかったら

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イリイチは晩年に「『未来』などない。あるのは『希望』だけだ」って言い遺しているんだけど、これも、なんかだか似たようなことを言ってるようにも思えて。未来に期待をして、予測をして、計画をしていくことで、ヒトも人生も、開発すべき「資源」や「材」とされてしまうことにイリイチは終生抗い続けたんだよ。

──単に「お先真っ暗だから、せいぜい希望をもつくらいしかできない」って意味じゃないんですね。

未来──あるいは、ここでは人生って言ってもいいんだけど──にやみくもに期待しつづけることから脱けだせなかったら、ヒトはいつまで経っても未来というものの奴隷なんだというのが、その本意だと思う。そう考えると、「いつも人生に驚かされていたい」っていうのは、まさにそこからの脱却を語ったことばなんだよね。めちゃめちゃ感動した。

 

いつも未来に驚かされていたい:『WIRED』日本版プリント版刊行休止に関するお知らせ|WIRED.jp

 

 

思考の酵母:

「自立自存の道具」となるのか

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──ちなみに、『WIRED』日本版の守護聖人って誰だったんですか?

公式にはいないけど、自分のってことならイヴァン・イリイチだよ。

──『コンヴィヴィアリティのための道具』の人ですよね。思想家というか、社会学者というか。

そうそう。本人は歴史家を自認してたみたいだけど。そのイリイチが考えた「コンヴィヴィアリティ」って概念は「自立自存」とか訳されるんだけど、『WIRED』をつくっていくなかで本当に自分が知りたかったのは、新しいテクノロジーは果たしてイリイチが言った意味において正しく「自立自存の道具」となるのかってことだったの。新しい技術やサーヴィスを評価するときの軸は、その一点しかなかった。

 

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